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お金を払ってもらえる報告書とは

《報告書とは何だ?》 ・ 報告書は仏壇にお供えするものではない ・ 生身の生きている人に手渡すもの 《 どんな報告書でも、作って渡せばお金をもらえるのか?》 ・ 無条件に検証¥100,000、報告書作成¥70,000を払ってもらえると言う錯覚 ・ 自分の口座から¥170,000をポンと引き出すことを想像して欲しい ・ お金を支払うからには、価値が提供されるハズという、言わば暗黙的な契約関係があるはず 《価値とは何だ?》 ・ 相手にアクションを起こさせる、或いは相手がアクションを起こす際の判断材料と成り得る ・ 費用対効果を感じなければ、次に検証を依頼しようと思わない   値段に見合わない味しか出せないラ一メン屋に、もう一度行く気になんかならないのと同じ   ある意味、検証/報告書作成は、次の依頼を得るための営業活動でもある 《価値を感じさせる相手とは誰だ?》 ・ PM、リーダー ・ スポンサー ・ ライン部長、統活部長 ・ 本部長 《どんな自分を目指すべきか?》 ・ それぞれの立場の人達に、当事者では認識できなかった気付きを与え、適切なアクションへ導くことが、サービスの価値 ・ それには、それぞれの立場の人達が置かれた状況を良く理解し、それを下からささえる姿勢が重要 《サーバントリ一ダーシップの提案》 ・ 相手の行動を先読みし、適切なタイミングで適切な補助ができる執事 ・ 第三検証だからと言って、つき離す様な指摘をして、距離を感じさせる様ではNG ・ 第三者の目で見た事実を元に是正の勧告をする訳だが、相手の受け入れ可能な提案はどのレベルなのか、ギリギリを考える必要がある 《それぞれの立場への提案とは?》 ・ PM、リーダー; ・ スポンサー; ・ ライン部長、統活部長、本部長; 《WGの方針》 ・ 過去に作成された報告書を題材に、それぞれの立場の人へどれだけ訴求できたかを討議 ・ またそのためには、報告書作成以前のプロセスで、何をする必要があったかについて、想いをはせる ・ 上記は本サービスならではの事情(現地、現物、現実)である→他のサービスとの差別化を計るためにも、是非、その点を重視して討議したい 《WGの進め方》 ・ 毎回、異なる報告書に対し、訴求不足のポイント(コンテン

「恋する統計学 推測統計入門」

明日の仕事で使える統計学を学ぶために、「記述統計入門」と同一シリーズの本書を拝読しました。95%などの区間推定を行う理由として、「正規分布の両端においては、予測しようと思えば予測できるが当たる確率が低いため、その様な当たらなそうなレアケースは予め諦めます」ということと理解しました。世の中のあらゆる事象は正規分布に従うと言う前提が、当初乱暴な印象を受けていましたが、先述の合理的な解釈により、今はある程度納得をしています。区間を区切るおかげで、統計学をより広い分野で活用できるようになったのではないでしょうか。 ただし、「記述統計入門」と同様、誤記誤植が散見され、読みながら理解すると同時に、いわば腕試しのために間違い探しという試練も課されていると言った状況です。書店で2冊(記述統計、推測統計)同時に購入したので読まざるを得ませんでしたが、まだ購入していなかった「回帰分析入門」、「因子分析入門」、「ベイズ統計入門」はパスかなぁ。。統計検定の公式本の目次に従って、他の分野を網羅していそうな書籍を探したいと思います。 恋する統計学 [推測統計入門]

JaSST'18 Tokyo 第2日

以下、参加セッション順に、個人的な所感を登稿します。 《C5-1)AI搭載システムの品質保証》 当初から聴講してみたいと思っていたセッションの1つ。会場もいっぱいに入った上に、立ち見の人も結構いたので、JaSST参加者の感心度の高さがうかがえました。 セッションの流れは、以下の順で説明されました。 ・AI搭載システムに対する品質保証の必要性 ・品質保証のゴール  「品質保証のゴール」:    社会が許容可能なリスク上限 ≧ システム全体のリスク    「従来から許容しているリスク」 「従来のシステムのリスク」    「AI活用の追加利益により    「AI活用により新たに発生するリスク」※1     新たに許容可能なリスク」※2   (上記は発表資料から引用) ・品質保証ゴールへのアプローチ  ・テスト技法:DNNカバレッジテスト手法(※1)  ・品質アセスメント技法(※2) ・社会が許容できるリスクの合意形成(※2) 自分たちで品質保証のゴールを定義している点に感心しました。技術的な検証実績を積んでないと、中々できないことだと思います。また、本セッションを通して研究成果を公開するところは、日立さんの懐の深さを感じました。もちろん、社会的な合意形成が必要である点を強く認識されてのことだと思いますが。また、機能性を100%実現できない特性上、統計学的な確率を用いてアセスメントせざるを得ないのは、同じ意見です。 【AIを評価する軸】  ・精度(対人間)  ・スピード  ・誤差の許容度(追加コスト、セーフティ)  → 上記の総合値と対象とするドメイン特性を元に、妥当性を検証 《C5-2)TPI Nextを活用したチームメンバーの問題意識から始めるテストプロセス改善》 TPI Nextを始めとした改善プロセスモデルは、組織に適用する初期段階で挫折してしまいそうですが、「メンバーの感情を突破口にする」やり方は、なるほどと思いました。感情は個人個人の主観ですが、決裁者を納得させる客観的事実として、上手に使っていると感心しました。また発表内容と共に、困っている人の心に寄り添う様なその喋り口など、自己顕示欲を全く感じないその講演者の方が、私の目には徳の高いお坊様のように映りました。私が日頃従事しているフィールドへの支援

JaSST'18 Tokyo 第1日

以下、参加セッション順に、個人的な所感を登稿します。 《A1)基調講演:Advances in Continuous Integration Testing at Goole》 全てのテストを自動化したことによって生じた新たな課題:"flaky"(テスト結果の不安定さ)に対し、現実的なQCDを踏まえたアルゴリズムについて解説してもらえました。が、テスト自動化について知識0な私にとって、馬の耳に念仏状態。。BtoC向けWebサービスの開発って、これまで想像したこと無かったのですが、同じシステム開発をしているとは思えない位、私の会社(主なドメインはBtoB)と文化的に異なっていると感じました。toCとtoBの違いがあるにせよ、2、3周の遅れではないのか。。普段からCIにかかわっていると思われる聴構者が多く、そっちにも結構ショックを受けました。低コスト、スピーディ(当然、品質担保)なアプリ開発は時代の要請であるにもかかわらず、どの様な経緯で断念したかは分かりませんが、テスト自動化に誰も取り組もうとしなくなっ我が会社って、大丈夫なのか?! 《D2)UI自動テストツールとAI 〜AIを使った自動テストの今と未来》 当初から聴講してみたいと思っていたセッションの1つ。会場もいっぱいに入った上に、立ち見の人も結構いたので、JaSST参加者の感心度の高さがうかがえました。 セッションの流れは、以下の順で説明されました。 ・Magic Podについて   ・基本機能:2つの方式   ・学習アルゴリズムと評価   ・課題(遅い、精度低い)と対処法 ・ソフトウェアテストでのAI活用   ・各テストプロセスでの実現性   ・不確実さの許容とAIの進化 印象的だったのは、AIだけでなくソフトウェアテストにも良く考察されていて、両分野の技術に精通されているとお見受けしました。もし自分が両方を極めたら、市場価値は高いだろうなぁと想像していたのですが、既にそう言う方がいらっしゃったと言う事です。また、どう学習されたかが現状ではブラックボックスのため、可視化する研究も進められているとのこと。やはり、統計学による範囲と確率を使った、定量的評価が必要と感じました。 《E3)静的解析とチーム間レビュープロセス》 アンケートにも書かせてもら

「恋する統計学 記述統計入門」

「明日仕事で使いたい!」と思っても、その知識が0状態の時ってありますよね。そう言う時に私が良く使う手は、高校の教科書を手に入れて勉強することです。この度、どうしても統計学活用の必要性に迫られて書店に行ったのですが、どのお店にも高校教科書は置いていませんでした(どうやら、高校数学の教育課程では、統計学の実用的な部分には触れていない模様)。初学者向け書籍はありましたが、対象が大学生レベルで、サクッと読むにはちと情報量が多いのです(少なくとも「サルでも分かる」レベルではない)。そんな中見つけたのが本書です。統計学を学ぶ上での最低限の用語と、標準偏差の利活用方法を解説されています。がしかし、誤植と想定される個所が散見され、それぞれの訂正内容を予想するのに時間を要してしまいました。サクッとした読了を期待していたのに。。(T^T) それでも、正規分布の概念を補完できたり、標準正規分布の考え方を使って、データの分布状況から発生頻度の確立を求める方法を知り得たのは収穫でした。 恋する統計学[記述統計入門]

「機械脳の時代」

本書では「データサイエンス上の計算手法そのものよりも、それをどのように使っていくか、チームの中でどのように振る舞っていくか、自分が提供する価値といった考え方やマインドセット」をメインテーマしており、機械学習の知識のみを取り扱った他の書籍と一線を画しています。既存のデータを活用して「何か気付きを与えられたら、いいね」と簡単に言ってのけてしまう組織の長に読んで欲しい内容がいっぱいです。現在の自社内での取り組みに、本書の知恵を是非活かしていきたいと思っています。 機械脳の時代―――データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか? 何度も読み返したい部分を本文から引用させてもらいました(以下)。 《データサイエンティスト訓》 「データサイエンスを学んでも、その知識の価値を発揮するためには、ビジネス、エンジニアリングを担うメンバーと共通言語で会話できる能力を身につける必要があります。」 「データサイエンスという武器の新しさに自分が心酔しているがゆえに、組織が一般に持ち、新しいものに対する抵抗への配慮が欠けて、プロジェクトに協力が得られぬまま頓挫することは多々あります。データサイエンスの取り組みは団体競技であって、個人技ではないという主張には、こうした理由があり、」 《A:Aim》 「現実には最初から目的が明確であることはかなり稀です。しかしそれでも、曖昧な当初の目的を、そのまま放置してプロジェクトを遂行するとその後のプロセスのどこかで破綻が起きます。」 《B:Brain》 「自分が担当したものは、どういうアプローチを採用するのか、なぜそれが適切だと考えるのか、説明する責任があります。」 「ビジネスサイドも、エンジニアリングサイドも、アルゴリズムの選定について知っていることは確実にチームの強みになります。」 「ビジネスとして結果をチームで出さなければならないことを考えれば、データサイエンティストにも手段(モデル)ではなく目的(ビジネス結果)にこそこだわる姿勢が求められます。」 「第1にB以外のA~EをはっきりさせることによってBへの要件を明示すること。第2にモデルの選定基準を可視化して、データサイエンティストに説明を求めること」 「たとえば部品の故障予測はとにかく予測精度が大事なので機械学習のモデルを使い、なぜ故障する

「ソフトウェアテストの教科書―品質を決定づけるテスト工程の基本と実践」

 テスト設計技法のうち、ホワイトボックステスト、及びブラックボックステストについての設計手順を分かり易く説明されています。事例だけでなく、実践的な演習問題が並記されており、「これ、明日現場で使って見よう」という気持ちになります。「テスト」に関する書籍を書店・図書館で探すと、実用性において本書が一番であると認識しています。依然、著者ご本人にお会いする機会があり、上記を伝えた所、「執筆時の狙い通りです」と嬉しそうに話されていました。 ソフトウェアテストの教科書―品質を決定づけるテスト工程の基本と実践  今回、テスト設計技法という新しい知識を得ることが出来た機会に、テスト設計に対する私の所感を述べたいと思います。世界と比較して、日本のモノ作りに対する意識が高いのは、どの産業の中でも普遍的だと思います(良いモノしか世の中に出してはいけない etc.)。小さな改善をたくさん積み重ねると共に、モノ作りのプロセスも改良が加えられ、技術・知識から文化へと昇華して来ました。その結果、私の様に日本で生まれ育った人は、購入した製品には良いものしか無く、粗悪品が混じっているなどとは露ほども思わない訳です。この様な文化的背景によって、ISTQBの「ソフトウェアは作った時点で欠陥を内包するリスクがあり、テストによって軽減していく」という見地に立ったソフトウェアテスト技術は、日本では醸成されなかったのかも知れませんね。